りんごの基礎知識りんごの生産量・消費量
りんごの産地で有名な青森県を例に、
りんごの生産量や流通事情について紹介します。
全国のりんごの生産量
りんご生産量の日本一は青森県
日本で1年間に生産されるりんごの量は、およそ661,900トンです(令和3年)。その63%が青森県で生産され、長野県、岩手県などがその後に続きます。
青森県の中でも、りんごの生産が盛んなのは津軽地方です。栽培面積は20,366ヘクタールで、世界でも有数の生産団地が形成されています。津軽地方では一面のりんご畑を見ることができます。
「ふじ」の生産量が1位
青森県でつくられているりんごのうち、およそ50%が「ふじ」。日本のみならず、世界でも人気の品種です。
そして、「王林」「つがる」「ジョナゴールド」の3品種がそれぞれ10%程度です。これらの4品種で、全体の生産量の80%近くを占めます。
りんご王国、青森県では?
りんごの生産量では日本一を誇る青森県。多くの家庭やオフィスのテーブルには、いつでもりんごが置いてあり、皮むき用ナイフとチラシ、新聞紙で折ったゴミ箱も常備しています。知り合いの農家さんから規格外のりんごをもらえるため、実は、地元の人たちはスーパーなどでりんごをほとんど買わないのだとか。
りんごができるまで
青森県のりんご作りは、1年を通してほとんどの作業が人の手で行われます。
一般的には、10アール(1,000㎡)当たりで約223時間もの時間がかかると言われています。
熟練の技が必要な作業もあります。
樹全体に太陽の光が届くように、樹の形を整える作業。りんご栽培で最も重要な工程で、熟練の技が必要です。
人間と同じように、りんごも栄養が必要です。4月に堆肥や肥料などを施用して栄養を与えます。
肥料が過剰や不足にならないように、土壌診断(土の健康診断)をして適切な量を施用します。
青森県の基準により年間10回程度、薬剤を散布しています。周辺の環境に配慮しながら、農薬は安全に正しく使っています。
土壌の流失や土の水分が蒸発するのを防ぎつつ、有機物を補給するため、草を生やしています(草生栽培と言う)が、草が伸びすぎるとりんご樹と水分を奪い合ったり、害虫などが発生するので栽培期間内に4~6回程草刈りをします。
ほとんどの品種は、同じ品種の花粉がついても実がならないので、他の品種の花粉をつける「授粉」という作業を行います。昔は、一つ一つの花に手作業で花粉をつけていましたが、今はマメコバチや機械による授粉が増えています。
りんごは1株に5つほどの実がなりますが、りんごの実に栄養がいきわたるように、3~5株に1つだけ実を残す摘果作業を行います。
袋かけは、昔は害虫から守るためでしたが、今は貯蔵性、着色性をよくするために行います。
中~晩生種の場合、9月中旬から下旬に袋をはぎ、実に日光を当てます。
りんごは太陽が当たったところが赤くなります。実全体に太陽の光が行き渡るように、葉をつんだり、実をまわしたりする作業を行います。
おいしいりんごのできあがり!
新しい苗木を植えてから、収穫できるようになるまで、通常は5~6年かかりますが、最近では、コンパクトな木を数多く植える「わい化栽培」などで、2~3年で収穫できるようになっています。
りんごの流通事情
青森から主に関東地方へ出荷
青森県でつくられたりんごは、日本中に出荷されます。もっとも多いのが関東地方で4割を占めます。
青森県のりんごは1年を通して出荷され、ピークは1月~3月です。青森県は気候が冷涼なので、りんごの生育や熟期が他の地域と比べて遅くなりますが、実のしまった貯蔵性が高いりんごができるのが特徴です。
また、早生種から晩生種まで多くの品種が栽培されていることに加え、貯蔵施設が整備されていることから、1年を通して、鮮度の高いりんごを提供しています。
台湾や香港などアジア圏にも輸出
日本のりんごの輸出量は、30,545トン(令和3年産)です。青森県では明治時代からりんごの輸出を行ってきましたが、平成14年1月に台湾がWHOに加盟したことを契機に台湾への輸出が大きく伸びて、近年では輸出量の70%を占めています。
世界で日本のりんごは愛されているのですね。
資料提供/青森県農林水産部りんご果樹課
編集/ワン・パブリッシング
資料提供/青森県農林水産部りんご果樹課
編集/ワン・パブリッシング