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おいしいNEWS TOPへもどる野菜博士・藤田 智が教えるベランダで育てて使えるハーブの楽しみ方
独特の香りが食卓はもちろん、暮らし全般を豊かにしてくれるハーブ。お店でも販売されていますが、自分で育てていればよりフレッシュな香りや風味を楽しむことができます。今回は恵泉女学園大学の教授であり、NHK『趣味の園芸 やさいの時間』にも出演する藤田 智さんに、ハーブを育てて楽しむコツを教えてもらいました。
料理、アロマ、インテリア… 暮らしを彩るハーブの活用法
こんにちは、藤田 智です。料理の香りづけだけでなく、化粧品やアロマオイル、ポプリなど幅広い用途に使える「ハーブ」。独特の香りが持つリフレッシュ効果、ヒーリング効果にも注目が集まっています。
ハーブのほとんどは育てやすく、野菜に比べて場所も取らないので、はじめての家庭菜園にもオススメ。
種類や育て方によっては、くり返し収穫することも可能です。収穫時期になったらもぎって料理に添えて、どんどん活用しましょう。
おしゃれな見た目はインテリアにもピッタリですね。
ハーブは大きく2種類に分かれます。セージやタイム、ローズマリーなどのように木本類のハーブと呼ばれているものと、パセリやバジル、フェンネル、スイートマジョラムなどのようにやわらかい茎を持つ草本類のハーブです。
草本類のハーブはさらに、栽培から1年で枯れてしまう一年草と、何年にもわたってくり返し収穫できる多年草に分かれます。図表を見て、これから育てたいハーブがどんな性質を持っているのか確認しておきましょう。
「さし木」でハーブを長く楽しむ
ハーブを育てる上で避けては通れないのが「さし木」と呼ばれるステップ。これはハーブの枝や葉を土などにさし、新しい根や芽を出させて株をふやす方法です。
一度ハーブを育ててみると分かるのですが、同じハーブでも株によって香りが少しずつ違うものなんです。自分のお気に入りの香りの株が見つかれば、それをさし木でふやしていったほうが、種から育てるよりも効率的だというわけです。
さし木は真夏(7~8月)と真冬(12~2月)を避ければ、いつはじめても構いません。ただし、この方法はセリ科、ヒガンバナ科、イネ科のハーブには使えませんので、注意してください。
やり方は簡単。ふやしたい株の枝を10cm程度切って少量の土にさし、根を出させるんです。枝を土にさしやすくするため、下から2節分くらいの葉は手で取っておきましょう。葉が大きいハーブをさし木するときは、残した葉を半分に切っておいてください。葉からの蒸散が抑えられて、根が出やすくなります。
準備ができたら、それぞれ土にさしていきます。土はバーミキュライトやパーライトなど、栄養分の含まれていないものを選びましょう。あらかじめ針金などで土に穴をあけておき、その穴に入れ込むようにするとうまくいきます。
2~3週間経って根が出てきたら、今度は栄養分の含まれた培養土を入れたポリポットに移し替えて、さらに根を伸ばしましょう。ポリポットの底穴から根が少し見えるくらいまで伸びたら、プランターに植え付けて育てれば、また収穫できますよ。
PROFILE:藤田智(ふじた・さとし)恵泉女学園大学人間社会学部教授:岩手大学農学部を卒業、同大学大学院を修了し、現在は教授として学生たちに生活園芸、園芸と社会、食育などを指導。テレビやラジオに出演する他、園芸関係の著書は130冊を超えている。家庭菜園や市民農園の指導や普及活動の他、日本の原風景の保全活動にも取り組んでいる。