牛肉の水だきからしゃぶしゃぶとなり全国へ
北京の火鍋料理にルーツがあるとされるしゃぶしゃぶ。日本では戦前から、近畿地方を中心に、味付けしていない湯で肉や野菜を煮る「水炊き」が親しまれてきました。
この調理法は後に「しゃぶしゃぶ」と名づけられて全国に広がり、現在ではさまざまな素材のしゃぶしゃぶが各地で食べられるようになっています。
そこで各地のローカルしゃぶしゃぶ素材を取り寄せて「なべしゃぶ」で実食してみました。一番マッチするのはどの素材と「なべしゃぶ」の組み合わせでしょうか!?
鹿児島
黒豚のしゃぶしゃぶ
豚の種類のうち「バークシャー種」のことを黒豚といいます。特に知られているのはかごしま黒豚。他の豚と比べて、やわらかく、歯切れがよく、旨味が多いのが特長です。また、さつまいもを加えた飼料を豚に与えることで、さっぱりとした食味や締まりのある肉質が実現しています。
柑橘醤油が旨味・甘みを引き出す
豚肉の王様として広く知られている黒豚ことかごしま黒豚。普通の豚肉と比べて、赤と白のコントラストがいかにもおいしそうなオーラが出ています。食べてみるとしっかりした食感で、旨味・甘みをはっきりと感じました。
「なべしゃぶ」の中では、圧倒的に「柑橘醤油つゆ」との相性が最高。醤油や柑橘の香りが甘みを引き立たせてくれます。ロースもバラもどちらも、「なべしゃぶ」にピッタリでした。
名古屋
名古屋コーチンのしゃぶしゃぶ
愛知県とその近隣県を中心に全国で飼育される卵肉兼用種で正式な品種名は「名古屋種」。比内地鶏、さつま地鶏と並ぶ日本三大地鶏の一つに数えられています。肉は赤身が際立っており、よく締まって歯ごたえのある肉質。コクのある風味が特長です。
柑橘醤油つゆでコク深い味わい
しゃぶしゃぶ用の薄切り肉でも十分に、独特の旨味を感じられる名古屋コーチン。
「なべしゃぶ」では「柑橘醤油つゆ」との相性がグッド。鶏の旨味と、柚子、かぼす、胡麻油の風味が合わさって複雑な味わいが楽しめます。コクのある味が好きならモモ肉、あっさり系が好きなら胸肉がおすすめです。
気仙沼
わかめのしゃぶしゃぶ
三陸の海岸では冬が生わかめの最盛期。海から収穫したばかりの新鮮なわかめの中でも、若いわかめがしゃぶしゃぶに最適。中芯もやわらかく丸ごと食べられます。もちろんミネラル豊富で栄養満点です。
どのつゆにも合う万能選手
新鮮な生わかめは、少ししゃぶしゃぶするだけで鮮やかな緑色に。しゃきしゃきな歯ごたえと旨味が楽しめます。
試食した「なべしゃぶ」のつゆの中では「柑橘醤油つゆ」が人気。かぼすや柚子の香りが、わかめの味を引き立ててくれました。
「鶏がら醤油つゆ」にもマッチして甲乙つけがたいおいしさです。
北海道
ミズダコのしゃぶしゃぶ
地方によってはオオダコとも呼ばれるミズダコ。北海道で水揚げされるタコは特に大きく、30~40kgあるものも。生ダコを新鮮なうちに急速冷凍してからスライスした「タコしゃぶ」は、やわらかくコリコリとした食感です。甘みが強くやわらかいのも特長。
噛むほどに甘みが広がる
透き通るほど薄くスライスされたタコを、さっとしゃぶしゃぶ。噛むごとに旨味や甘みが出てきて絶品の味わいでした。
「なべしゃぶ」のつゆでは「鶏がら醤油つゆ」との相性もいいのですが、「柑橘醤油つゆ」の方が口に入れた時のタコの甘みと風味をより強く感じました。