mull

家庭用オーブンで楽しめる陶芸にチャレンジ!【4】本物のレモンで成形する夏の小鉢

家庭用オーブンで楽しめる陶芸にチャレンジ!【4】本物のレモンで成形する夏の小鉢

春夏秋冬と四季の移ろいを感じる日本の風土は、うつわ文化にも反映されています。そこで今回は"夏のうつわ"として、食卓をさわやかに演出するレモン形の小鉢の作り方を、酒井さんに教えていただきました。成形する型には本物のレモンを使用することで、リアルな形と質感を表現。酢の物や和え物を入れるお皿として、「黄金の味 さわやか檸檬」を使ったおうち焼肉用のお皿として、さまざまに活用できる小鉢です。

本格的な陶芸の場合は型を石膏で取ることから始めますが、おうちで手軽に楽しめるオーブン陶芸の場合は、身近なものを型として使うことができます。今回は本物のレモンを型に使用したリアルなレモン形の小鉢を製作しました。
オーブン陶芸は焼成時のヒビや割れといったトラブルが少ないため、色々な形に挑戦しやすいところもメリットのひとつ。作りたい作品の大きさや形を決めたら、まずはイメージに近い形の型となるものを探してみましょう。「あれは使えるかな?」「黄金の味の空き瓶はどうだろう?」などと、家族でアイデアを出しあう時間も、オーブン陶芸の楽しみのひとつです。

材料・道具 <7.5 cm×11cmの小鉢1個>

材料・道具 <7.5 cm×11cmの小鉢1個>

・白のオーブン陶芸用粘土 1/4パック〈※1〉
・オーブン陶芸用コーティング剤〈※2〉
・5mmの厚さのたたら板 2枚(5mm厚の板で代用可)〈※3〉
・めん棒
・綿布
・スポンジ
・カッター
・レモン
・筆
・イエローのアクリル絵具
※オーブン陶芸用粘土・コーティング剤は画材店やクラフトショップに加え、インターネットでも購入可能です。その他の道具は、100円ショップの商品や自宅にある身近なもので代用できます。
※今回は5mmのたたら板を使用しましたが、お好みで厚さを変えることも可能です。たたら板を厚くするほど頑丈な作品となります。

作り方 −レモンで粘土を小鉢の形にして焼く−

作り方 −レモンで粘土を小鉢の形にして焼く−

(1)綿布の上に白の粘土を置きます。粘土の両端にたたら板を置いたら、めん棒で均一な厚さになるよう延ばします。
(2)レモンに1で延ばした粘土を、包むように被せます。
(3)余分な粘土をカッターで切りレモンを取り外します。切り口を水で濡らしたスポンジや指で滑らかになるように整えたら、3〜5日間風通しのいい日陰で乾燥させます。
(4)170〜180度のオーブンで約15分焼きます。
※温度調節が可能なオーブンもしくはトースターを使いましょう。電子レンジでは焼くことができません。焼く工程は親御さんが一緒に行いましょう。

【ポイント】おうちにある身近なものを型にして創造の幅を広げる

【ポイント】おうちにある身近なものを型にして創造の幅を広げる

オーブン陶芸は身近なものを型として使うことで、作品の幅が広がります。例えば今回型として使用したレモンを、ピンポン球のような小さな丸いものに変更すれば、お猪口を作ることも可能。空のペットボトルや、お刺身が入った食品トレーといった使い捨ての容器をはじめ、100円ショップで手に入るタッパーやお子さんのおもちゃも立派な型となります。どんどん応用してみてください。
今回使用したレモンは表面が凸凹していたためガーゼを使いませんでしたが、プラスチック素材のものなどは粘土を直接貼り付けるとくっついて取れなくなってしまうこともあります。型となるものと粘土の間には、必ずガーゼを挟みましょう。またガーゼの代わりにタオルを挟むと、タオル地独特の風合いを粘土につけることもできます。

作り方 −色つけ~再び焼く−

作り方 −色つけ~再び焼く−

(5)やけどをしない温度にまで冷めたら、黄色のアクリル絵具で色つけを行います。
(6)アクリル絵具が乾いたら、テーブルと接地する底面を避け、筆で刷り込むようにしてコーティング剤を塗ります。
(7) 30分ほど乾燥させます。手で触りベトベトしていなければ乾いた合図です。
(8)100度のオーブンで約20分焼きます。
※温度調節が可能なオーブンもしくはトースターを使いましょう。電子レンジでは焼くことができません。焼く工程は親御さんが一緒に行いましょう。

完成!うつわ作りを通して食育を

完成!うつわ作りを通して食育を

芸術家であり美食家とも言われた北大路魯山人は、「この食事にはこのうつわが合う」といった“食とうつわの相性”を提案した人物。わたしたちはその魯山人が提案したうつわのあり方を、いまもそのまま受け継いでいるのです。お茶碗ひとつ取っても、時代とともに色味や大きさは変わっているものの、原型となる形がいまも昔も変わることはありません。
煮物に焼き物に小鉢と、それぞれの料理に合ったうつわがある日本の食文化。お子さんが小さなうちからさまざまな形のうつわに触れることも、食育につながるのではないでしょうか。

PROFILE:酒井智子
 陶芸家・東京都北区の陶芸会顧問。美術大学にて陶芸を学び、現在は自身の工房にて陶芸教室を主宰。テレビ番組や造形クラブにて、子ども向け陶芸の企画や指導を行うなど、多岐にわたり活躍中。著作に「キッチンでつくるかわいい器
 はじめてのオーブン陶芸」(誠文堂新光社)など。公式Webサイトはhttp://sakaikobo.net/(編集/ランサ―ズ)

TOPに戻る