買うなら「ステンレスの18センチ三徳包丁」 料理道具王子・飯田結太が教える 包丁の選び方

買うなら「ステンレスの18センチ三徳包丁」 料理道具王子・飯田結太が教える 包丁の選び方
数十万円の高級品があるかと思えば、100円ショップでも販売されている包丁。素人目にはどう違うのかわかりませんよね。『マツコの知らない世界』にも出演した"料理道具王子"こと飯田屋六代目・飯田結太さんによると、両者にははっきりとした違いがあるのだそう。包丁にはそれぞれ個性があり、ひとつとして同じものはない――。そう語る飯田さんに、後悔しない包丁選びのコツを聞いてきました。
100円の包丁と数十万円の高級包丁、何が違う?

100円の包丁と数十万円の高級包丁、何が違う?

こんにちは、飯田結太です。包丁は第二の手、料理をする人なら持っていない人はまずいないでしょう。それだけに「飯田屋」のような料理道具の専門店だけでなく、雑貨店やスーパー、100円均一ショップの店頭にまで並んでいます。価格も数十万円のものから100円(!)のものまで、本当に幅広いラインナップですよね。さすがに100円のものは全然切れなかったりするのでは、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。商品として販売されているのですから、100円の包丁でもしっかり切れます。差が出てくるのは、何年、何十年と時間が経ってから。包丁にはセラミック、チタン、ステンレス、鉄、鋼とさまざまな素材のものがありますが、安価な包丁には軟らかい鋼が使われていることが多いんです。鋼は摩耗しやすく、少しの刺激で欠けてしまいます。買ってすぐのときはよくても、すぐに切れ味が鈍ってきてしまうのです。家庭用にオススメしたいのは、断然ステンレスの包丁。職人の技が光る鉄製の包丁も捨てがたいのですが、さびやすいのが難点です。他の家事に気を取られていて、気づいたら包丁をひと晩水につけっぱなしにしてしまっていた……なんてこと、ありますよね。酸化に弱い鉄製の包丁はそのような状況だと、やはり錆びてしまいます。その点ステンレス製の包丁なら、濡れた状態で多少置いておいても大丈夫。料理をしながら洗濯もして、お子さんの世話もして……というような忙しい方にも、安心してお使いいただけます。
硬すぎず軟らかすぎない絶妙な硬度も、ステンレスのいいところ。包丁は硬ければ硬いほどいいというわけではありません。たとえばセラミックは抜群の高度を誇りますが、硬すぎるがゆえに柔軟性に欠け、先端が欠けてしまうことがあるのです。包丁は軟らかすぎても硬すぎても、刃こぼれの原因になるんですね。
「選ぶならステンレスの18センチ三徳包丁」のワケ

「選ぶならステンレスの18センチ三徳包丁」のワケ

素材のポイントをつかんだら、次は形とサイズです。包丁ってみんな同じ形だと思っていませんか? 包丁とひと口に言っても、魚をさばくときに適した形と果物を切るときに適した形は、当然違いますよね。包丁の形は用途ごとに違うというほどバラエティに富んでいるのですが、大きくは「三徳(写真上)」と「牛刀(写真下)」のふたつに分けられます。ご家庭用にどちらかひとつを選ぶとしたら、僕は三徳包丁をオススメします。三徳包丁は日本で生まれた世界的に人気の形で、刃幅が厚く、まな板との接地面が多いのが特徴。安定感があり手を添えやすいので余計な力がいらず、女性でも使いやすいと思います。
一方の牛刀包丁は洋包丁の一種で、主に肉の調理に使われます。刃に独特の反りがあり、先がとがっているので、ステーキ肉などの厚い肉を切るのに最適です。
しかし、三徳包丁に比べると刃幅が狭く、反りがあるぶんまな板との接地面も少ないので、慣れないと使いにくいかもしれません。これから1本目の包丁を選ぶという方は、まずステンレス製の三徳包丁にしぼって探してみましょう。

包丁のサイズは、まな板とセットで考えるとわかりやすいです。目安は、刃渡りが普段使っているまな板の短いほうの辺と同じ長さのもの。ほとんどが18センチくらいだと思います。この「18センチ」は、どんな人にも使いやすい万能サイズ。迷ったらまずはこのサイズを買っておけば、間違いないと思います。料理道具店に行くと刃渡り21センチという大振りな包丁もありますが、こと包丁に関しては“大は小を兼ねる”とは限らないと、私は考えています。19センチ以上の包丁を使いこなせるのは、プロ並みの設備と広い調理スペースがあるときだけ。まずは16~18センチの包丁をそろえてみてください。
いいキッチンばさみは「ギザギザ」の有無で見分ける

いいキッチンばさみは「ギザギザ」の有無で見分ける

包丁が苦手な人の強い味方、キッチンばさみ。キッチンばさみも、選び方は基本的に包丁と同じです。さびにくく刃こぼれしづらい素材で、自分の手にフィットするものを選びましょう。店頭で選ぶときのチェックポイントは、次の3つです。
1.刃に細かい“ギザギザ”がある

1.刃に細かい“ギザギザ”がある

僕がキッチンばさみ選びの一番のポイントだと思っているのは、刃に“ギザギザ”がついているかどうか。このギザギザがあれば食材をしっかりとホールドしてくれるので、鶏の皮などやわらかく脂分の多い食材でも切りやすいんです。ギザギザにはひと目見て分かるようなものもあれば、目を凝らさないと分からないようなものもあります。後者は「マイクロエッジング加工」と呼ばれるもので、食材をホールドするためというよりは、滑らずに切るために施されています。凹凸があるぶん切れ味は少し重い感じですが、スイスイと動くキッチンばさみよりもスパッとキレイに切れます。新しくキッチンばさみを買うときは、この“ギザギザ”があるかどうか、ぜひ確認してみてください。
オールステンレスというのも、大事なポイントです。キッチンバサミって、持ち手の部分だけプラスチックになっているものも多いですよね。こういうつくりだと、持ち手と刃の境目に食材カスがたまってしまいがちなんです。関孫六のようなオールステンレスだと、そんな心配もありません。

2.強度抜群の「鍛造」

キッチンバサミの一番のオススメ素材は、もっとも硬い材質であるハイカーボンステンレスを鍛造(たんぞう)したものです。
鍛造とは、型に流し込んで固めた金属をハンマーで叩くなどして圧力をかけて仕上げていく製法。圧力をかける過程で金属内部の隙間がつぶれ、結晶がより細かくなります。機械で型抜きするプレス加工に比べて強度にすぐれ、長く使っても摩耗しにくいという特徴があります。
3.刃を外して洗える

3.刃を外して洗える

刃の部分はぜひ、取り外し可能なものを選びましょう。食材カスは刃と刃の隙間にもたまりやすいからです。衛生的に使えるかどうかは、一度買った料理道具を長く使い続けるためにはとても大切なこと。細かい部分までこだわって、使えるキッチンバサミを見つけてくださいね。

飯田結太(いいだ・ゆうた):大正元年創業の料理道具屋の老舗、飯田屋の6代目。自ら天職と語るほど料理道具をこよなく愛する。テレビ・雑誌・漫画など多数のメディアで最新の料理道具や長く使える手入れ法を紹介。特にフライパンと便利グッズに関しては語り始めると止まらなくなる。トレードマークは蝶ネクタイ。『マツコの知らない世界』ほか、メディア出演も多数。

TOPに戻る