使えるのは「重いフライパン」!? 料理道具王子・飯田結太が教える フライパンの選び方

使えるのは「重いフライパン」!? 料理道具王子・飯田結太が教える フライパンの選び方
毎日の料理に欠かせない料理道具といえば、フライパンですよね。特にフッ素加工のフライパンは手入れもしやすく便利。でも、選び方を間違えると、すぐに焦げつくようになってしまったり、焼きムラが出て料理がうまく仕上がらなかったりするんです。これ1枚あれば大丈夫! という万能フライパンを選ぶポイントを、テレビや雑誌などでもおなじみの老舗道具店「飯田屋」6代目・飯田結太さんに教えてもらいました。
フライパンは軽いほうがいい、は間違いだった

フライパンは軽いほうがいい、は間違いだった

こんにちは、飯田結太です。東京・合羽橋で「飯田屋」という料理道具店の六代目店主をつとめています。職業病というべきか、料理道具に対するこだわりは誰にも負けないと思っています。お店にあるフライパンも、もちろんすべて使い比べ済み。今回はそんな私が、家庭で使うフライパンの選び方をご紹介します。
炒めものなどで持ち上げることもあるフライパンは、なるべく軽いほうがいいと思いがちですよね。でもこれ、実は間違い。料理をおいしく作るということを考えると、むしろ重みがあるほうがいいんです。
理由はフライパンの「厚み」にあります。ハンバーグなどを作っているとき、真ん中のタネは焦げるほどに火が通っているのに、端のほうのタネは全然焼けていないなんてこと、ありませんか? これはフライパンの底が薄く、熱が均等に伝わっていないから。フライパンにある程度の重みがあるのは厚みがある証拠。厚みがあると底からじわじわと熱が広がり、表面に達する頃にはフライパン全面に行きわたります。これで焼きムラのない、おいしい料理を作ることができるというわけです。
重いほうがいいというと鉄製のフライパンを思い浮かべるかもしれませんが、必ずしも鉄製でなくてもかまいません。フライパンの素材は「どんな料理を作ることが多いか」で選ぶのがベスト。というのも、素材によって熱の伝わり方や保温力がまったく違ってくるからなんです。

たとえばアルミニウム製のフライパンは熱伝導性にすぐれていて、強火ですばやく仕上げる炒めものにピッタリです。ただし冷めやすいという欠点もあるため、時間をかけてコトコトと煮込む料理には向きません。こうした場合は、蓄温性の高いステンレス製のフライパンを選ぶのがいいでしょう。
素材と並んで悩みがちなのが、フライパンの大きさ。これはシンプルに家族の人数で選びましょう。1~2人暮らしなら直径26センチのものがちょうどいいと思います。3人家族なら28センチ、4人家族なら30センチくらいのものを買っておくと失敗がありません。
和洋中使える「万能フライパン」3つの特徴

和洋中使える「万能フライパン」3つの特徴

ベストなフライパンは目的によって変わってくる。これは事実なのですが、だからといってプロの料理人のように何種類もフライパンを買うなんて、とても無理ですよね。ご家庭用として1枚持っておくと重宝する「万能フライパン」の特徴を、ご紹介しましょう。

【1】多層構造で重みと厚みがある
まずチェックするポイントは、フライパン自体が多層構造になっているかどうか。金属の層がつくる厚みのおかげで、炎の熱がフライパンの表面に伝わるまでに、均一に広がってくれます。
なかでもオススメなのが、ステンレスとアルミニウムが組み合わさって層をなしているフライパンです。ステンレスは熱伝導性、アルミニウムは蓄温性にすぐれた金属。ふたつを組み合わせることで、熱が伝わりやすく冷めにくい、最強のフライパンができあがるのです。

【2】フッ素樹脂加工も多層構造
次に注目してほしいのが、フライパン表面のフッ素樹脂加工。一見どれも同じに見えますが、商品によって性能にかなりの差があるんです。オススメは、高品質のフッ素樹脂加工を多層構造で施したフライパン。見た目だけでは判断できないので、表示をよく見て確認しましょう。汚れが落ちやすく、手入れも簡単なフッ素樹脂加工のフライパンですが、「傷みやすい」という弱点もあります。通常のフッ素樹脂加工はがれやすく、寿命は長くて2~3年。その点、多層構造のものは表面に強度の高いフッ素樹脂を吹きつけているので、長く使っても傷みにくいんです。食材がこびりつきにくいので、少ない油でヘルシーに調理できます。

【3】最後に確認してほしいのが、十分な深さがあるかどうか。50ミリ以上を目安にするといいでしょう。このくらいの深さだと、炒めものをつくるときに扱いやすいうえに、ちょっとした煮物にも使えて便利です。
調理直後に水で“ジュッ”と洗うのは、絶対NG!

調理直後に水で“ジュッ”と洗うのは、絶対NG!

フライパンを使った後、すぐにフライパンを水で流していませんか? “ジュッ”という音も気持ちよく、ついついやってしまいがちですが、フッ素加工のフライパンには絶対NG。急激な温度変化によって表面のフッ素加工が縮んでしまい、生じた亀裂から加工がはがれていく原因になります。フッ素加工を長持ちさせるコツは、フライパンが冷めてから洗うことです。冷めると油が固まってしまいますので、お湯でふやかしながら洗いましょう。洗ったあとは、水気をしっかりとふき取っておいてくださいね。
フッ素加工のフライパンを堪能したら、2枚目には鉄製のフライパンを買うのもいいと思います。鉄製のフライパンは1つひとつに個性があり、プロの料理人にも愛用者が多いです。なかには数万円という高額なものもありますが、ステーキなどの焼き料理が最高においしく仕上がるのも魅力的ですよね。
鉄製フライパンの加工法には、強い力で鉄を金型に押し付ける「プレス加工」と、熱した鉄を機械や職人の手で打つ「打ち出し」の2つがあります。家庭用にオススメしたいのは「打ち出し」のほう。プレス加工で作られたフライパンに比べて板が厚い(約1.6ミリ)ぶん、食材にじんわりと熱が入り、煮物などがふっくらと仕上がるんです。
また、打ち出しのフライパンの表面には、鉄を打ったときにできる細かい凹凸があります。この凹凸がフライパンに油をなじませやすく、食材をこびりつきにくくしてくれます。これに対してプレス加工のフライパンは表面がツルツルで、食材がこびりつきやすいことは否めません。板が薄い(約1.2ミリ)ぶん熱は早くまわるのですが、場所によって熱の伝わり方に差が出やすく、火加減の調整に慣れていない人には使いにくいんです。

手入れをしながら何十年も使い続けられる、鉄製フライパン。使うたびにフライパンの個性を理解できるようになり、見た目の味わいも増していきます。ズボラさんにも使える打ち出しの鉄製フライパン、料理の幅を広げる“セカンドフライパン”にぜひ!

飯田結太(いいだ・ゆうた):大正元年創業の料理道具屋の老舗、飯田屋の6代目。自ら天職と語るほど料理道具をこよなく愛する。テレビ・雑誌・漫画など多数のメディアで最新の料理道具や長く使える手入れ法を紹介。特にフライパンと便利グッズに関しては語り始めると止まらなくなる。トレードマークは蝶ネクタイ。『マツコの知らない世界』ほか、メディア出演も多数。

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