お弁当には「漬け込み+からめ焼き」のダブル使い!作り方が食感に与える影響を官能評価員が検証。シーン・タイプ別 おすすめの生姜焼き調理法を紹介
エバラ食品は、20~60代の女性を対象に「生姜焼き実態調査」を実施しました。その結果、生姜焼きが多くの人から愛される家庭料理である一方、「肉が硬くなる」「生姜をすりおろすのが面倒」「パサつく、ジューシーに仕上がらない」などの不満点があることがわかりました。
今回、エバラ食品の研究所に在籍する味覚のスペシャリスト・官能評価員がシーン・タイプ別に合わせた生姜焼きの作り方と、マンネリ化しがちな生姜焼きの新しい食べ方をご紹介します。
広い世代に愛される定番メニュー!月に一度は生姜焼き
調査によると、約9割の人が自分や家族が「生姜焼きが好き」と回答し、家庭で生姜焼きを月1回以上作る人は7割を超えるなど、広い世代に愛されるメニューであることがわかりました。
また、生姜焼きを作る理由は、自分や家族が好きなメニューだからというほかにも、「ごはんに合う」「手早く作れる」といった点をあげる人が多いこともわかりました。
漬け込み派?それとも、からめ焼き派?
生姜焼きの味付けは「自分で調味料を合わせて作る派」が70.9%と多数を占めました。作り方では肉を調味料に漬け込んでから焼く「漬け込み派」が43.7%、肉を素焼きしてから、調味料で味付けする「からめ焼き派」が56.3%と、やや「からめ焼き派」が上回りました。
「生姜焼き」を作るとき、どのように調理されることが多いですか
豚ロースと玉ねぎを炒め、キャベツとトマトを添える。これぞ定番の生姜焼き!
生姜焼きを作る際によく使用する食材は「豚ロース肉」が53.8%と圧倒的に多いことがわかりました。次いで「豚バラ肉」が21.8%、「豚小間切れ肉・切り落とし肉」が16.5%となりました。また、一緒に炒める野菜は玉ねぎ(68.7%)、付け合わせの野菜はキャベツ(57.6%)とトマト(42.4%)が定番だとわかりました。
やわらかく、ジューシーに仕上げたい!
生姜焼きを作る際、「肉が硬くなる」「生姜をすりおろすのが面倒」「パサつく、ジューシーに仕上がらない」という点に不満を感じている人が多くいることがわかりました。
「生姜焼き」を作るとき、どのようなことに苦手、不満を感じますか(複数解答可、N=316)
味覚のスペシャリスト「官能評価員」が比較検証!
生姜焼きは家族みんなが大好きで、月に一度は作る定番の家庭料理であるにも関わらず、多くの方が仕上がりに納得できていないことがわかりました。
そこで、やわらかくジューシーな仕上がりになる生姜焼きの調理法を探るべく、肉の厚さや調理方法を変えることで、どのような変化が現れるかを検証することにしました。検証をするのは味覚のスペシャリスト「官能評価員」です。官能評価とは、人の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を用いて、食品の特性や人の感覚を測定する技術です。エバラ食品の研究所には、当社独自の訓練プログラムを受けた官能評価員が多数在籍しています。
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目的
からめ焼きと漬け込みという調理方法の違いが、食感におよぼす影響ついて調査
※からめ焼きとは、肉を素焼きしてから調味料をからめて仕上げる調理法、漬け込みとは、肉を調味料に漬け込んでから焼く調理法とする。 -
共通条件
① 豚ロース肉の厚さ2~3ミリと4~5ミリ、それぞれで検証する
② 焼く前に常温に戻す
③ 加熱時間を一定にするためIH調理器を使用(厚さ2~3ミリは両面合わせて1分半加熱、厚さ4~5ミリは両面合わせて2分加熱)
④ 味付けは「エバラ生姜焼のたれ」を肉の重量に対し25%を使用
⑤ 調理直後と調理から3時間後(お弁当を想定)それぞれを検証する
使用食材 | 喫食時間 | ||
豚ロース肉 厚さ2~3ミリ |
豚ロース肉 厚さ4~5ミリ |
調理直後 |
冷めた状態 (3時間後) |
豚ロース肉
厚さ2~3ミリ
豚ロース肉
厚さ4~5ミリ
調理直後
冷めた状態
(3時間後)
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評価方法・内容
研究員24人(男性12人、女性12人)で官能評価を実施。
以下6項目について、からめ焼きと漬け込みのどちらが強い(多い)かを評価した。
① 色のてりつや
② 生姜の香り(喫食前)
③ 咀嚼(そしゃく)時のやわらかさ
④ 多汁性(ジューシーさ)
⑤ 生姜の風味(喫食中)
⑥ 肉への味のしみ込み
機器測定:テクスチャーアナライザー TA.XT Plusを使用し、調理法の違いによる肉の硬さを測定した。
官能評価の結果
<からめ焼き>
- 厚さ2~3ミリのお肉を用い、調理直後に喫食する場合はからめ焼きにすると「てりつや」がよく仕上がる。
- 調理後すぐに食べる場合には、からめ焼きの方が「生姜の香り」がたっている。
<漬け込み>
- 漬け込みは、やわらかく、ジューシーに仕上がり、味がしっかりと肉にしみ込む。時間がたってもその傾向は変わらない。
- 喫食中に感じる「生姜の風味」は、漬け込みの方が強く感じる傾向にある。
喫食時間 | 調理直後 | 3時間後 | |||||||
食材 | 豚ロース 2~3ミリ | 豚ロース 4~5ミリ | 豚ロース 2~3ミリ | 豚ロース 4~5ミリ | |||||
調理方法 | からめ焼 | 漬け込み | からめ焼 | 漬け込み | からめ焼 | 漬け込み | からめ焼 | 漬け込み | |
色のてりつや | ◯ | × | △ | △ | △ | △ | × | ◯ | |
生姜の香り(喫食前) | ◯ | × | ◯ | × | △ | △ | × | ◯ | |
咀嚼時のやわらかさ | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | |
多汁性 | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | |
生姜の風味(喫食中) | △ | △ | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | |
肉への味のしみ込み | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ | × | ◯ |
○:明らかに強い(多い)、△:両者に差がない、×:明らかに弱い(少ない)
機械でも測定してみました!
テクスチャーアナライザーという、食品の硬さや歯ごたえなどの食感を測定し数値化する機械にかけ、お肉の硬さを計測しました。
すると、官能評価同様に、漬け込んだお肉の方が明らかにやわらかく、その差は厚さ4~5ミリの方が大きいことがわかりました。
※値が小さいほど弾力性が低い(やわらかい)ことを意味します。
食用のお肉は通常、pHが5.5~6.0の状態で流通しています。これはもっとも保水性が低く、水分やうまみが含まれる肉汁が流出しやすい状態。加熱するとどんどん肉汁が出て、硬くなってしまいます。
「生姜焼のたれ」に漬け込むと、たれに含まれる有機酸の働きにより、お肉を構成する筋線維にすき間が生じ、そこに糖やアミノ酸が入り込みます。同時にpHが酸性側に傾くため、保水性が増し、やわらかくジューシーなお肉に仕上がるのです。
参考資料
あなたは「生姜焼き」がどの程度好きですか
ご家族は「生姜焼き」がどの程度好きですか
あなたがご家庭で「生姜焼き」を作る理由は何ですか(複数解答可、N=316)
生姜焼き」を作るとき、「味付け」はどのように
することが多いですか
「生姜焼き」を作る時、以下の食材は使いますか?
(複数回答、単位%)
食材 | 炒め | 付け合わせ | 使わない |
キャベツ | 18.0 | 57.6 | 28.8 |
もやし | 25.6 | 19.6 | 58.2 |
ピーマン | 27.5 | 13.3 | 61.7 |
にんじん | 21.5 | 12.7 | 68.7 |
玉ねぎ | 68.7 | 17.1 | 20.3 |
なす | 13.9 | 9.2 | 78.5 |
トマト | 4.1 | 42.4 | 55.7 |
きゅうり | 4.1 | 24.4 | 73.1 |
きのこ類 | 30.7 | 15.2 | 55.7 |
【調査概要】
調査期間: | 2019年2月8日(金)~12日(火) 5日間 |
調査対象および有効回答数 : | 合計330人(20~60代の女性) |
調査方法: | インターネット調査 |
調査地域: | 全国 |
- ※小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100.0%にならない場合があります。