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TPP発効で輸入肉が身近に!赤身ステーキが驚くほどおいしく焼ける「漬けワザ」調理
2019.05.07

TPP発効で輸入肉が身近に!
赤身ステーキが驚くほどおいしく焼ける「漬けワザ」調理

環太平洋経済連携協定(TPP11)の発効により、さらに身近な存在になると予測される輸入牛の特徴や、おいしく味わうための調理法「漬けワザ」についてご紹介します。

■1月の牛肉輸入量は前年の1.4倍!今年はオーストラリア産とニュージーランド産の牛肉に注目!

TPPに参加した11カ国のうち、メキシコと日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナムの7か国が手続きを完了(2018年12月21日現在)し、2018年の12月30日にTPPが発効されました。これにより、加盟参加国から輸入する牛肉の税率は、それまでの38.5パーセントから発効の1年目には27.5パーセントまで下がり、2033年までに9パーセントまで段階的に引き下げられることになります。この動きを受け、2019年1月は牛肉輸入量が増加。財務省貿易統計によると前年同月を4割も上回る50,574トンとなっています。また、4月は関税率の引き下げに加え、大型連休を控え、輸入量の大幅な増加が予想されています。
そこで、2019年に注目すべき輸入牛は2つ。1つはオーストラリア産牛肉です。オーストラリアとはすでに2国間の経済連携協定(EPA)が取り交わされており、牛肉の輸入量は増えているのですが、2019年はさらに身近なものになると思われます。もう1つは、ニュージーランド産牛肉です。こちらは従来の税率より10パーセント以上も下がったため、2019年は輸入量が大幅に拡大すると予測されます。2019年はこの2か国を中心とした輸入牛が大いに注目されます。

TPP11 発効による牛肉に対する関税率引き下げの仕組み
TPP11 発効による牛肉に対する関税率引き下げの仕組み

※政府発表資料を元にグラフを作成

■牛肉の選び方も変わる!赤身が多い輸入牛はたんぱく質や鉄分が豊富

バーベキュー上級インストラクターの資格を持つ、エバラ食品の田中は、「TPP11の発効により、価格動向への関心が高まっていますが、肉のバリエーションが増えることにも注目していただきたいです。肉の種類や部位の選択肢が増えるということは、栄養面においても選択の幅が広がることにつながります。和牛と比較して輸入牛はたんぱく質や鉄分が豊富で、脂質が低いという特徴があります。
例えば、ステーキでよく食べられるサーロインやリブロースの栄養成分をみると、和牛よりも輸入牛の方が約1.5倍もたんぱく質や鉄分が多く含まれていることがわかります。ステーキといっても牛の種類や部位によって、栄養成分が大きく異なるのです。これからは、価格だけでなく栄養のことも考慮して、その時の体調やシーンに合わせてお肉を選んでみてはいかがでしょうか」とコメントしています。

■100gあたりの肉の部位別栄養成分

食品成分 エネルギー
(kcal)
水分
(g)
たんぱく質
(g)
脂質
(g)
炭水化物
(g)
灰分
(g)

(mg)
和牛肉 サーロイン/
脂身つき、生
498 40 11.7 47.5 0.3 0.5 0.9
乳用肥育牛肉 334 54.4 16.5 27.9 0.4 0.8 1
輸入牛肉 298 57.7 17.4 23.7 0.4 0.8 1.4
食品成分 エネルギー
(kcal)
水分
(g)
たんぱく質
(g)
脂質
(g)
炭水化物
(g)
灰分
(g)

(mg)
和牛肉 リブロース/
脂身つき、生
573 34.5 9.7 56.5 0.1 0.4 1.2
乳用肥育牛肉 409 47.9 14.1 37.1 0.2 0.7 1
輸入牛肉 231 63.8 20.1 15.4 0.4 0.9 2.2

*日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

■赤身肉の味わいとやわらかさを楽しめる「漬けワザ」調理

より身近な存在になると思われるオーストラリア産やニュージーランド産などの輸入牛。「輸入牛は馴染みがない」「独特の風味が気になる」「うまく焼けずに硬くなってしまった」など、手ごろな価格で買えるようになってもなかなか手を出しにくいという方も多いのではないでしょうか。
エバラ食品の田中は「輸入牛は脂肪分の少ない赤身肉が多いので、それに合わせて新しい調理法を試してみてはいかがでしょうか。海外では、ビーフステーキやチキンステーキなど、かたまり肉を調理する際に、あらかじめ、酢や油などを合わせた『マリネード』や塩や砂糖を溶かした『ブライン液』に漬けるなど、“お肉を漬け込む”という調理法が広く使われています。漬け込むことで食感がやわらかくなり、お肉のうまみを引き出してくれるのです。初めての方にはいろいろな調味料を混ぜて漬け込むのはハードルが高いかもしれません。そこで、身近にある調味料とちょっとした調理のコツで、お肉を簡単にやわらかくおいしく仕上げる『漬けワザ』をご紹介します」とコメントしています。

■「漬けワザ」調理で失敗しないおうちステーキの焼き方
赤身の多い輸入牛は「焼肉のたれに漬け込む&火加減」がカギ!!

Step1

お肉を焼肉のたれに漬け込み常温に戻す

ジッパー付きの袋にお肉と焼肉のたれを入れて、手で軽くお肉を押さえながらもみ込み、30分ほど寝かせて常温に戻します。焼肉のたれの量は、お肉の重量の20~25パーセントを目安にしてください。お肉を冷蔵庫から出してすぐに焼き始めると、表面のみを急激に加熱することになり、お肉内部の温度がなかなか上がりません。その結果、表面だけが焦げてしまうので注意が必要です。

  • お肉を焼肉のたれに漬け込み常温に戻す
  • お肉を焼肉のたれに漬け込み常温に戻す
  • お肉を焼肉のたれに漬け込み常温に戻す

漬け込む時のポイント

ステーキ肉は袋の上から軽く押さえる程度にもみ込みます。袋の中の空気を抜いてから寝かせると、焼肉のたれにしっかり漬かります。

たれに漬け込むことでジューシーに!うまみの相乗効果も!

輸入牛は脂肪分の少ない赤身肉が多くを占めています。そのまま焼くと硬くなりがちなので、焼肉のたれに漬け込むのがおすすめです。たれに含まれる有機酸の働きにより、お肉を構成する筋線維にすき間が生じ、そこに糖やアミノ酸が入り込みます。そのため、保水性が増し、焼いた時にやわらかくジューシーなお肉に仕上がるのです。

また、お肉に含まれる核酸系のうまみ成分であるイノシン酸はアミノ酸系のうまみ成分であるグルタミン酸と合わせることで、うまみが何倍にも強く感じられるという特徴があります。たれには、しょうゆや香味野菜由来のグルタミン酸が多く含まれています。だからお肉と一緒に食べることでうまみの相乗効果が生まれ、お肉のうまみをさらに引き出してくれるのです。

焼肉のたれに漬け込むことでジューシーに!うまみの相乗効果も!

Step2

お肉の表面についたたれを拭き取る

お肉の表面についたたれをキッチンペーパーで軽く拭き取ります。
こうすることで焦げの防止につながります。

お肉の表面についたたれを拭き取る

Step3

「強火」と「弱火」を使い分けて焼く

フライパンをしっかりと温め、うすく煙が出てきたら一度火を止め、油(または牛脂)を引きます。再度火をつけ、

強火で30秒焼き、弱火にして1~2分焼きます。その後、お肉を裏返し、同様に強火で30秒、弱火で1~2分焼きます。
(※牛肉の厚さが1.5センチでミディアムに焼きあげる場合を想定)
お肉をやわらかくジューシーに仕上げる焼き方のポイントは、お肉の中心温度が65度を越えないようにすることです。なぜなら、加熱しすぎるとお肉の中のコラーゲンが収縮し、大切なうまみである「肉汁」が流出し、硬く縮んでしまうからです。焦がさず中心までゆっくりと熱を伝えるために強火と弱火を使い分けましょう。

「強火」と「弱火」を使い分けて焼く

厚いお肉をお好みの焼き加減にするコツ

焼き加減は、指で輪を作ったときの、親指の付け根の硬さを目安にチェック!!

お好みの焼き加減を、あらかじめ親指の付け根の硬さで把握し、その硬さを目安に火加減を調節しましょう!

  • 焼き加減は指で輪を作った時の、親指の付け根の硬さを目安にチェック
  • 焼き加減は指で輪を作った時の、親指の付け根の硬さを目安にチェック
  • 焼いているときは、
    フォークの背で硬さを
    チェックしてもOK!

レア ミディアム・レア ミディアム ウェルダン
人差し指と親指 中指と親指 薬指と親指 小指と親指

レア

人差し指と親指

ミディアム・レア

中指と親指

ミディアム

薬指と親指

ウェルダン

小指と親指

焼き加減は指で輪を作った時の、親指の付け根の硬さを目安にチェック!

焼き加減は指で輪を作った時の、親指の付け根の硬さを目安にチェック!

※お肉の厚さが1.5センチを超える場合も強火と弱火の時間を長くして調整してください

Step4

お肉を休ませて肉汁を閉じ込める

両面を焼いたら火を止めます。フライパンからお肉を取り出し、アルミホイルで包む、または、火を止めたフライパンの上で約2分休ませます。お肉を休ませることで、肉汁がお肉の全体に行き渡り、カットしたときの肉汁の流出が抑えられ、ジューシーなステーキに仕上がります。

お肉を休ませて肉汁を閉じ込める
お肉を休ませて肉汁を閉じ込める

「漬けワザ」で、焼いたときの香ばしさもアップ!

たれに漬け込むからこそ、食欲をそそる香りが生まれる

お肉を焼いたときに生まれる食欲をそそる香りは、アミノ酸と糖が引き起こすメイラード反応によるものです。パンを焼いたときや、すき焼きを調理するときに出る良い香りも同じです。メイラード反応はお肉を素焼きにするだけでも起きるのですが、お肉に含まれる糖が少ないため、それほど活発な反応はみられません。ところが、糖やアミノ酸を多く含むたれに漬け込んだお肉を焼くと、メイラード反応が活発に起こり、食欲をそそる独特な香りがたくさん生まれるのです。

焼肉のたれに漬け込むことでジューシーに!うまみの相乗効果も!

コミュニケーション部 田中敬二

エバラ食品工業株式会社

コミュニケーション部 田中敬二

バーベキュー上級インストラクター/お肉検定1級

2004年 エバラ食品工業株式会社 入社
仙台と大阪にて営業を担当
2014年 エバラバーベキューエキスパートチーム(EBET)活動開始
2015年 商品開発を担当
2016年 販売促進を担当

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