「肉焼き」はお肉の種類や部位、
大きさによって、
その旨みを引き出す方法は実に100を超えるといわれる、
実は奥が深い調理技法なのです。
今回はその中から家庭でも簡単に実践できる、
厳選技をピックアップしました!
「筋切り」で見た目も美味しく
焼いたお肉をより“おいしそう”に仕上げるポイントは「筋切り」。焼く前に、赤身と脂肪との境にある筋に、包丁で数カ所、切れ目を入れておきましょう。厚みのあるお肉なら、裏側にも切れ目を入れます。
Point
縮んだときに反り返りやすいコーナーに沿って、狭い間隔で細かく切れ目を入れてください。縮み、反り返りを防いで、見た目がよりおいしく仕上がります。
火の通りを均一にするために
常温に戻す
冷蔵・冷凍したお肉は、焼く前に室温に戻しておくことがおいしく焼くコツです。室温に戻すことで、お肉の外と内の温度差がなくなり、火が均一に通ります。
「塩ふり」は焼く直前に
ジューシーなお肉を食べたいなら、塩をふるのは焼く直前!
早めに塩をして、長い時間置いておくと、お肉は固くなってしまいます。これは浸透圧の作用で、塩をふって時間がたつとお肉の水分が流れ出してしまうためです。
お肉をジュ―シ―にやわらかく仕上げるには、お肉の中心温度が65℃を超えないようにすることがポイントです。この65℃を超えてしまうと、お肉の中にあった旨みの肉汁がどんどん外に流出してしまい、お肉が固くなってしまうのです。
お肉の中心温度が65℃近くに熱せられると、お肉の表面にうっすらと肉汁が浮き上がってきます。この「浮き上がってきた肉汁」が中心温度65℃の目安です。これがみえたら、お肉をひっくり返すタイミングです。ひっくり返した裏面の方も、表面にうっすら肉汁が浮かび上がってきたら完成!
日本で販売されている食肉(一枚肉)については、中心温度「65℃焼き」での食中毒リスクは、相当低いと捉えていますが、それでもご心配な場合や、ひき肉や結着肉(サイコロステーキ)などの場合は、中心温度を65℃近辺に抑えることにこだわらず、十分加熱をしてください。
お肉の焼き方は部位によって変える
お肉の種類によって、焼き方にもコツがあります。お肉の種類によって違う、焼き方のコツさえつかめば、焼肉をもっとおいしく楽しめます。
牛タン(比較的に脂身の多い肉)
片面を焼き、表面の周りが少し反ってきたら、裏返す。この時、脂部分をしっとりと仕上げるために、お肉を優しく引きずるようにして裏返すのがポイント。
裏面に少し焼き色が付いたら、再度引きずるようにして裏返す。
同様に少し焼き色が付いたら、できあがり。※もっと焼きたい場合は、①②を繰り返す。
カルビ・バラ肉(比較的に脂身の多い肉)
片面を焼き、表面の周りが白くなったら、裏返す。タン同様、お肉を優しく引きずるようにして裏返すのがポイント。
裏面にも焼き目が付いたら、できあがり。
もっと焼きたい場合は、①②を繰り返す。
牛ロース肉(比較的に脂身の少ない肉)
片面を焼き、お肉の周り部分に肉汁がうっすら見えだしたら裏返す。
表面に焼き色が少し付いたら、もう一度裏返して軽く焼いて完成。
好みの焼き加減は、
手のひらの「腹」と「指」でチェック!
レア、ミディアムなど、人によってお好みの焼き具合は異なります。でも、お肉の内部が見えないのが困りのタネ。そんな時、実は自分の手とフォークさえあれば、いとも簡単に、好みの焼き加減を確かめることができるのです。お肉をフォークで押した感触と手のひらの感触を照らし合わせ、さっそくチェックしてみましょう。
- レア【内部温度の目安 55~65℃以下】
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表面は焼けているが、中心部は生で肉汁が多い。かなり弾力がある。
人差指と親指で輪を作ったときの、親指の付け根の固さ
- ミディアム/レア【内部温度の目安 65℃】
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レアよりは火は通っているが、中心部はまだ生の状態。切ると赤い肉汁がにじみ出る。
中指と親指で輪を作ったときの、親指の付け根の固さ
- ミディアム【内部温度の目安 65~70℃】
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中心部にちょうど良い状態に火が通り、薄いピンク色。肉汁は少ししか出ない。
薬指と親指で輪を作ったときの、親指の付け根の固さ
- ウエルダン【内部温度の目安 70~80℃】
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肉汁はほとんど出ない。弾力も少ない。
小指と親指で輪を作ったときの、親指の付け根の固さ