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『いざというとき慌てない! 困らない! これだけは備えておきたい防災テクニック』【1】暮らしと防災 備えながら暮らしを楽しむ方法

『いざというとき慌てない! 困らない! これだけは備えておきたい防災テクニック』【1】暮らしと防災 備えながら暮らしを楽しむ方法

整理収納アドバイザーとして、家族みんなが片付けやすく、無理なく続けられる片付け方法やアイデアを提案しているtakaさん。防災の知識も深め、昨年、防災共育管理士®1級講師の資格も取得。防災のプロを目指したきっかけや、備えながら日々の暮らしを豊かにするコツをうかがいました。

3.11を経験し、防災を「自分事」に

東日本大震災を経験するまでは、災害や防災対策を自分事として捉えていなかったというtakaさん。
「震災当時、子どもたちは長男が年少、次男が1歳11か月、末娘が8か月。幼稚園から帰ってきたあとに激しく揺れ、同時に停電・断水に。住んでいるのは神奈川県なので、幸い、家屋に被害はなかったものの、私も子どもたちも恐怖心でいっぱいになり、逃げるように家を出て、近くの公園に避難しました。その後、雨が降りはじめ、たまたま電気が使えていたママ友の家にお世話になりました(夫は都内で帰宅難民に)。翌日、電気や水道は復旧したものの、当時の備えは気持ち程度。おむつや電池などが手に入りにくく、計画停電などもあり、不安を抱えて過ごしたものです」(takaさん)

この経験を機に、防災意識が変わって自分なりに少しずつ備えていき、友人に誘われて防災共育管理士®の資格取得講座を受講。もしものときは家族を守りたい、震災時に助けてくれた友人のように、できることがあるなら自ら進んで行いたいという思いから、資格を取り、無理なくできる防災を実践・伝えています。そして、整理収納と防災の両方の目線から、心地よい暮らし方をアドバイスしています。

うるおいのある暮らしを楽しみながら防災を日常へ

うるおいのある暮らしを楽しみながら防災を日常へ

防災で一番大切なのは、生き残ること。地震が発生した際は、揺れ自体も危険ですが、家具の転倒や落下物、ガラスの破片など、二次的なものによる被害のほうが大きいケースが多いです。
命を守るために、倒れる恐れのある家具や家電は固定もしくは耐震対策をし、災害時に凶器に変わる包丁や食器は出しっぱなしにしない習慣を。玄関や廊下などの避難経路や寝室、扉付近には、極力ものを置かないようにしましょう。不要なものを手放すことも、減災につながります。

ただ、防災ばかりを優先すると、部屋の中が殺風景でものたりない。お気に入りのものに囲まれた、自分らしさのある心地よい暮らしも、同じくらい大切です。
「私にとって観葉植物は癒しで、なくてはならないもの。防災のためには、何も置かないほうが安全ですが、暮らしのうるおいをなくすことはできないと思いました。そこで、防災対策を施しながら、植物を飾り続けることにしました。
自分で心地よいバランスを見つけていくのが、日々の暮らしを楽しみつつ、防災を日常に取り入れるコツです」(takaさん)

インテリアに溶け込む耐震対策で心豊かに暮らす

インテリアに溶け込む耐震対策で心豊かに暮らす

takaさんがおうちで実践している、防災インテリア術を見せていただきました。

「観葉植物については、以前は、掃除がしやすいよう、キャスターつきの台に鉢をのせていましたが、地震の際に転がったり、倒れたりする恐れがありました。
そこで、キャスターを撤去して受け皿の底にシールつきのフェルトを貼り、すべらせて移動しても床が傷つかないようにしました。
植物をのせたワゴンも置いていますが、倒れた場合に備えて窓ガラスに飛散防止フィルムを貼っています。窓ガラスが割れたとき、穴をふさぐためのブルーシートと養生テープも準備しています。
鉢をつり下げて飾るときは、L字型のフックを固定し、簡単に落ちないようにしています」(takaさん)

素敵な空間を演出しているリビング棚には、突っ張り棒とストッパーを設置。転倒や落下を防ぐには、二重の対策をしておくと、より安心です。上段の陶器は、くり返し貼ってきれいにはがせる柔らかな粘着剤で固定し、落下を防止。

食器棚の内側には、違和感なく棚になじむ耐震ロックを取りつけ、食器の飛び出しを防いでいます。

暮らしになじむ、おしゃれな防災グッズを取り入れる

暮らしになじむ、おしゃれな防災グッズを取り入れる

シンプルなデザインで、インテリアに溶け込むLED懐中電灯は、単3電池と単4電池を2本ずつ入れて使うのですが、電池が1本でも明かりがつき、ランタンとしても使えて便利です。すぐ手に取れるよう、コンパクトソーラーライトといっしょにテレビの横に置いています(写真a)。お気に入りのオブジェは、倒れたり、落下したりしないよう柔らかな粘着剤で裏面を固定(写真b)。

一見するとおしゃれなデザインのスリッパは、実は底面に特殊なシートを使用し、
非常時にガラス片から足を守ることができるもの。
「ふだん使いもできて、かかとを被せればくつのようになり、いざというとき、脱げにくく、歩きやすいです。割れものの処理にも重宝する防刃軍手といっしょに、寝室に置いてあります(写真c)」(takaさん)

防災しつつ、インテリアも楽しみたい、takaさんのちょうどいい暮らしには、「何から備えをはじめたらいいのかわからない」という人でも、一歩踏み出せるアイデアがいっぱいです。

PROFILE:taka
 整理収納アドバイザー・防災共育管理士®1級講師。「つづく、暮らし」主宰。3人の子どもと夫との5人暮らし。整理収納と防災のスキルを活かし、家族みんなが「無理なく続けられる」心地よい暮らしを提案。各種メディアで活躍するほか、お片付けサポートやオンラインでの片付け相談、レッスン、ワークショップなども行う。
 https://www.tsudukukurashi-taka.com/
 (編集/ワン・パブリッシング)

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