差し色だけでは解決しない栄養バランス“つもり食”の思わぬ落とし穴。
働く女性の 4 人に 1 人が「やせすぎ」!食生活の実態
エバラ食品は、「食事と栄養に関する、意識と実態の調査」をインターネット調査で実施しました。医学博士・管理栄養士の本多京子先生によると、多くの料理が並んだ一見バランスのよさそうな夕食でも栄養バランスが偏っていることがわかりました。また、20~30代の働く独身女性は、食事をとる回数が少なく、4人に1人が「やせすぎ」の傾向にあり、料理に苦手意識を持っていることもわかりました。
SNS 映え重視!?彩り豊かな“つもり食”に隠された落とし穴
今回の調査では、夕食の写真を撮影し、食べたメニューを記入してもらいました。すると、20~30代の働く独身女性は他の調査対象区分に比べて外食率が高く、自炊をしても極端に食べる量の少ない人が多く見受けられました。また、品数が多くカラフルで栄養バランスがとれていそうな食事でも、管理栄養士から見ると栄養バランスに偏りがあることがわかりました。
20 代働く独身女性の夕食
30 代働く独身女性の夕食
●品数の多い食事例
<20 代働く独身女性の夕食>
自宅で作ったハンバーグ 2 個
コンソメスープ 1 杯
ガーリックライス 1 杯
<バランス判定>
不足:ビタミン類、食物繊維、カルシウム
過剰:カロリー、塩分
<30 代働く独身女性の夕食>
豚バラ大根1 皿
きのこ炊き込みご飯お茶碗1 杯
れんこんきんぴら 1 皿
ブロッコリーと卵のオイマヨサラダ 1 皿
ウーロン茶1 杯
<バランス判定>
不足:ビタミン類、食物繊維、鉄分、
カルシウム
過剰:カロリー、塩分
<30 代働く独身女性の夕食>
白米お茶碗1 杯
自宅で作ったミネストローネ 1 杯
自宅で作ったブリの照り焼き半切れ分
スーパーで購入した絹豆腐1 個
醤油をかけた生卵1 個
キュウリとセロリ 6 スライス
<バランス判定>
不足:食物繊維、カルシウム
過剰:カロリー、塩分
※夕食メニューは原文ママ、一部固有名詞を修正しています。
本多先生は「一見すると品数もあり、カラフルな野菜が入っていて、見た目には栄養バランスがよさそうですが、多くの人の食事で、ビタミン類、食物繊維、鉄分やカルシウムなどのミネラル類が不足しがちなことがわかりました。品数の多い食卓例にあげた3人のように、何にどのくらいの栄養素が入っているのかを把握せず、トマトやキュウリ、アボカドなどカラフルな差し色食材を取り入れ、栄養バランスがとれている“つもり食”になっている方が多く見受けられます。例えば、差し色によく使われるトマトでは100グラム(大玉トマトの約半分)で1.0グラム、レタスでは100グラム(約3分の1個)で1.1グラムの食物繊維しかとれません(※3)。1日に必要な食物繊維量は、成人男性で20グラム以上、女性で18グラム以上(※4)ですので、これだけではまったく足りないことがわかります。最近では、SNSに自分の食事をアップする女性も多くいますが、『栄養バランス』よりも『写真映え』を気にしているのかもしれませんね。食事の中に差し色感覚で野菜を足すだけでは、不足しがちなビタミン類や食物繊維、鉄分、カルシウムは補えません。また、過剰になりがちな塩分は味付けの仕方を工夫したり、薬味を使うことで減らすことができます。上手に塩分量をコントロールしたいですね」と指摘しています。
※3 日本食品標準成分表2015年版
※4 日本人の食事摂取基準2015年版
20~30代の働く独身女性の主な食事傾向
- 不足傾向
- ビタミン類、食物繊維、鉄分、カルシウム
- 過剰傾向
- カロリー、塩分
スタイルを気にして、健康は気にしている“つもり”な若年女性
20~30 代の働く独身女性の4 人に1人にあたる26.1 パーセントが BMI 値 18.5 未満の低体重にあたることがわかりました。本多先生は「やせたい、太りたくないという気持ちが強く、栄養バランスではなく、太りにくそうな食材ばかりを食べたり、パンケーキなど栄養素の偏った軽食で済ませたりしがちです。こうした食事の影響もあり、冷え性や便秘、倦怠感のある人が多いのも特徴です」と指摘しています。
レシピがないと作れない!? 2人に1人が基礎調味料を使いこなせない
20~30代の働く独身女性の53.0パーセントが「基礎調味料をうまく使いこなせない」と感じていることがわかりました。本多先生は「料理経験の浅い若年層にとって基礎調味料はなじみが薄く、ハードルが高いのかもしれません」とコメントしています。
メニューを考えるのに苦労
レパートリーが少ないと感じている人が 7 割超
20~30代の働く独身女性の73.6パーセントが「料理のレパートリーが少ない」と感じていることがわかりました。本多先生は「自分自身で意識してレパートリーを増やせば、料理や食材の栄養素にも興味がわき、料理も楽しくなってくると思います。自分で料理をして食べる機会が減っているので、食材の生かし方や調味料の加減がわからず料理の苦手意識につながっているのでしょう」とコメントしています。
やせたい?時間がない?欠食率の高さが目立つ若年女性
20~30代の働く独身女性の40.8パーセントが朝食を毎日食べておらず、2日に1回以下の人は18.5パーセントにもおよびました。また、16.4パーセントが昼食を毎日食べていないこともわかりました。夕食の実態調査ではカロリーが過剰に摂取される傾向にありましたが、それとは逆にやせすぎな女性が多いのは、こうした欠食率の高さが原因かもしれません。
本多先生は「太りたくないという気持ちや、仕事が忙しく食べる時間がとれないことが欠食につながり、やせすぎの要因になっているのでしょう。しかし、自分の心と体をイキイキとさせるためにも、まずは食事を見直さなくてはいけません。20~30代だとちょっとした体の不調がでてもすぐに深刻な病気にはつながりませんが、栄養の偏りややせすぎは、肌荒れにつながったり、気持ちが不安定になったりと、その後の人生にも大きく影響します。今から食生活を見直してほしいですね」とコメントしています。
たんぱく質源は手軽にとれる卵がトップ
“つもり食”で不足するビタミン、ミネラルを牛肉と豚肉で解消!
下のグラフを見ると、20~30代の働く独身女性のたんぱく質源は、卵が断トツに高く、次いで、豆腐や鶏むね肉が多いことがわかりました。
本多先生は「これらのたんぱく質源だけでは、今回の調査で明らかになった“つもり食”によるビタミン、ミネラル不足は解消できません。たんぱく質食品は量だけでなく、同時に含まれているビタミンやミネラルにも注目しましょう。牛肉や豚肉、レバーなどは、たんぱく質をとりながら、不足しがちなビタミン、ミネラルを補給することができます。牛赤身肉は、特に女性に必要な鉄分を効率よく摂取することができます。野菜や大豆など植物性食品にも鉄分(非ヘム鉄)は含まれますが、肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄分(ヘム鉄)の方が5~10倍も効率よく体内に吸収されるのです。またヒレやももなどの豚赤身肉は、糖質のエネルギー代謝に欠かせないビタミンB1を多く含んでいます。糖質が代謝されないと、体の中に脂肪として蓄積されてしまったり、疲れやすくなってしまうので、甘いものが好きな人や倦怠感のある人におすすめの食材です。さらに、ヒレやももなどの豚赤身肉なら、成人女性に必要な1日分のビタミンB1推奨量(1.1ミリグラム)をたった100グラム程度で摂取することができるのも魅力です」とコメントしています。
エバラ食品ではこの調査結果を受け、お肉と野菜を手軽にバランスよくとる方法を紹介することで、若い女性の健康で美しい体づくりのお役立ちができると考えました。そこで、誰でも簡単に手早く作れるおしゃれな健康食「ブロッコリーライスで食べる!黄金タコライス」をご紹介します。
【調査概要】
調査期間:2018 年3 月13 日(火)~16 日(金)、3 月30 日(金)~4 月2日(月) 計8 日間
調査期間: |
2018 年3 月13 日(火)~16 日(金)、3 月30 日(金)~4 月2日(月) 計8 日間 |
調査対象および有効回答数 : |
合計719 人(男性122 人、女性597 人) ① 小学生の子どもを持つ女性(※1)240 人 ② 20~30 代の働く独身女性 238 人 ③ 60 歳以上のシニア 241 人 |
調査方法: |
インターネット調査(※2) |
調査地域: |
全国 |
調査方法: インターネット調査(※2)
調査地域:全国
※1 対象①は、回答者自身ではなく小学生の子どもについてのアンケートです。
※2 小数点以下第2 位を四捨五入しているため、合計が100.0 パーセントにならない場合があります。
本多京子(ほんだ きょうこ)先生
医学博士
管理栄養士
NPO 日本食育協会理事
主な出演番組 NHK『ごごナマ』、『きょうの料理』、『趣味どきっ』他
雑誌、新聞の出演多数。著書は 60 冊を超える。