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スーパーでも手に入るようになった「希少部位」おうちでおいしく食べる調理術をお肉の達人が伝授します
2020.08.31

スーパーでも手に入るようになった「希少部位」おうちでおいしく食べる調理術をお肉の達人が伝授します

近年、スーパーでも見かけるようになった牛肉の希少部位。なかでも耳馴染みのある「イチボ」「ミスジ」「牛タン」の3種を今回はピックアップして、お肉の達人に各部位の特徴からおいしい食べ方までを徹底解説してもらいました。

いつから“希少部位”が焼肉店で登場したのか?

実は「希少部位」と一口に言っても、明確な定義があるわけではありません。牛1頭から取れる食肉部分は約400kgで、その0.5%に当たる約2kgを希少部位と呼ぶことがほとんどですが、なかにはそれ以上取れる部位であっても希少と表示することもあります。

そこでお肉検定1級の資格を持つ、エバラ食品の田中に希少部位が食べられるようになった背景を聞いたところ、「希少部位という言葉が流行したのは、一部の焼肉店がメニューに付加価値をつけて提供したのが始まりです。その後メディア露出もあり、「イチボ」「ミスジ」「ザブトン」など、それまでに存在した「カルビ」「ロース」とは違った、メジャーではない部位名が浸透し、さらに細分化し「カメノコ(うちももの一部の赤身)」や「メガネ(骨盤のまわりにある赤身)」といった耳慣れない部位が登場するようになりました。加えて、刺身の盛り合わせのように、大きなプレートの上に部位別のお肉を並べ名札をつけて提供することで、顧客が興味をひくような見せ方をする焼肉店が増加したのも、希少部位が浸透した理由だと考えられます」とのこと。

2000年代初頭に起こった焼肉ブームがきっかけとなり、それと同時に付加価値をつけた希少部位を提供するお店が増えたというわけです。

いつから“希少部位”が焼肉店で登場したのか?

スーパーでも手に入るように!意外に身近な希少部位

希少と呼ばれるだけあり、従来は焼肉店をはじめとした飲食店でしか見かけることがなかった希少部位。しかしながらここ数年、スーパーでも「イチボ」や「ザブトン」といった希少部位を見かけるようになりました。「スーパーの精肉売り場では、手に入りやすい価格帯の商品と、付加価値をつけた高価格帯の商品の二極化が進んでおり、従来の精肉売り場では『焼肉用』や『ステーキ用』のように、部位別ではなく用途別で売られることがほとんどでした。そして、一頭買いした牛を、部位別に細分化して販売するスーパーが登場するなど、お肉に付加価値を持たせる焼肉店の発想が、小売店にも流れてきたと考えられます」と田中はコメント。そこで今回は、スーパーでも手に入りやすい希少部位である「イチボ・ミスジ・牛タン」をピックアップ。それぞれの部位の特徴に加え、おうちでおいしく食べる方法を教えてもらいました。

由来を知ると覚えやすい!希少部位のネーミング

ザブトン、メガネ、ツラミ、フエ、ハチノス・・・と、希少部位には面白い名前が付けられていることが少なくありません。そのため、名前を聞いただけではどの部位か、いまいち想像がつきませんが、希少部位の名前の由来を知れば、よりお肉が身近になるはずです。ということで今回は「イチボ・ミスジ・牛タン」の名前の由来をご紹介します。

<イチボ>
牛のお尻はH型をしています。そこから「Hボーン(aitchbone)→エチボ→イチボ」という風に変化して、イチボという名前が付けられたといわれています。H型の牛のお尻という語源の由来を知れば、イチボがお尻の部位ということも併せて覚えられます。


<ミスジ>
ミスジは、牛の肩から腕にある部位。この部分に大きな“3枚の筋”が入っていることから、ミスジと呼ばれるようになりました。輸入牛の場合、上・真ん中・下に筋が入っていることが顕著で、国産の場合は葉脈のようにサシが入っているため、木の葉の模様に見えるのが特徴です。


<牛タン>
英語で舌を意味するタン(tongue)と牛を掛け合わせた合成語です。牛タンはスーパーや焼肉店でもよく見かける部位のため、希少といったイメージは少ないかもしれませんが、そのほとんどは輸入。国産の牛タンは需要が多いわりに供給量が少ないため、紛れもなく希少部位。高価ですが良質な脂のうま味が楽しめます。